エスエヌデー株式会社|電設資材|照明器具|空調機器|住宅設備機器|家電製品|情報機器販売|香川県坂出市

 
 
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第117号 庭師
1993-04-01
 「ついにやったぜ」
 
 そんなに大袈裟なことでもないか。昨年暮れから正月休みにかけて我が家の庭木の剪定をする。それが穏やかな天気にも助けられて十五日の成人の日にやっと終了したのだ。
 昨年まで毎年秋の終わり頃本職の庭師にお願いしていたものを、今年は自分ですることにした。
 いずれは隠居仕事で自分の手で、とは考えていたが、まだその年には些か時間はあるが、土曜休日も増えたし、そのときに備えて今から練習しておこうと、思い立った次第。
  とは言うものの、本職の庭師で延べ十人ほどの日数を要していたのを、素人が一人で、勤めの合間の休日にやろうと言うのだから簡単にはいかない。第一隠居仕事と考えていたのが大きな間違いであった。大変な重労働である。殊に十尺の脚立のてっぺんまで上がってやっと届く松の枝は、不自然な姿勢を余儀なくされて余分な力と高所恐怖で疲労度数倍。
  木は上ほど勢いがあって頂上に密生した新芽のどこを切るか、思案しつつ眺めている目に雲の動きが入って来る。一瞬自分の体が動いたように錯覚して木にしがみつく。もともと木登りは苦手なのだ。これは慣れるまで相当時間がかかりそう。
  幸なことにそんなに高い木は一本だけで他はほとんどが育ち盛りの若木ばかり。それでも絡み合った枝をほぐして、針金で方向を定めたり添え木して真っすぐに整えたりしていると、二メートル程の一本の松に正味三日間かかったのもある。本職がしてくれた後は見栄えは良いが枝の方向付けまではしてくれない。それに見てくれを良くするためか、やたら徒長枝が多い。これを切除すると葉がなくなりそうな枝もある。それを素人が自分の気にいるように整えようとするのだから容易ではない。本を片手に、又その心得のある知人に教えを乞いながらの作業が続いた。
  子供の頃からの習慣で、なにをするにも私の横ではラジオがなっている。

「声は聞こえるのに姿が見えないと思ったら木の上におるのか」

  鳴門から生若布を届けてくれた得意先の会社の会長さん。
「ようやるな。わしゃまだあんたみたいに木いらう年にはならんからようせんわ」
 
と、なにをおっしゃいますか、私より一昔上の会長さんは立派な適齢期(失礼)。
 
「ついでにうちのもやってくれよ、庭師に頼んでも仕事量が一日では中途半端でなかなかきてくれんのや」

  もう少し実践して自信が持てるようになったらお世話になっているお礼に奉仕させて頂きましょう。
  庭木には全く無関心だった亡き父が植えた唯一の木、玉柘植が大きくなった回りの木に邪魔されて半分枯れかかっている。別の場所に移しても良いのだが、せっかく張った根がかわいそうで、回りの邪魔な枝を落として日照権を確保してやる。その柘植や貝塚は日陰になったところがいつの間にか葉が無くなっている。沈丁花、椿などは少々日陰でも元気元気。貝塚伊吹が所どころ触ると痛い杉葉を出している。これは余計に切られた怒りの反抗らしい。
  何年か前から、私の机の上に置いたままになっていた「住まいの庭園技能講座」の学習書がやっと日の目を見るときが来たようだ。
 

第191号  灰になるために生まれてきたんじゃない

第191号  灰になるために生まれてきたんじゃない
 
灰になるために生まれてきたんじゃない

出来たばかりのコンクリート舗装の路上に白い大きな犬の死体が横たわっていた。

開通間もない国道十一号。現在は県道三十三号になっているが、私が高校に通っている三年間に工事が進められて、出来上がった真新しい路面に無残な姿があった。最近では路上に死んでいる犬猫を見るのは珍しくもなくなったが、半世紀も前の光景が強烈に脳裏に残っている。今も通勤時に通る道である。

悲惨な交通事故死は人間も同様で悲しむべきことであるが、その犬猫の命が不慮の死ではなく、まるで売れ残ったコンビニの弁当のように処分されていると聞くと人間のおぞましさに恐怖感を覚える。

それは連日報道される幼児虐待、いじめ、陰惨な殺人事件等殺伐とした世相に現れているようにも思える。

知人が「小さな命の写真展」として、保険所等で殺処分される前の犬猫の表情を写した写真展を常盤街商店街、ホームセンター、駅構内、市役所等々で開催している。

この命、灰になるために生まれてきたんじゃない。全国で一日に約一千頭の犬猫が二酸化炭素に依って殺処分されている。香川県は人口当たりの殺処分数は全国ワースト五位だそうだ。その費用は全国で二十四億円と聞くこれ全て税金で賄われている。

人の癒しの為に、命の尊さを共有する筈のペットが心ない一部の人と思いたいが、無責任に捨てられ殺される。

写真展の会場で売られていた児童書のノンフィクション作家、今西乃子著「犬たちを送る日」の冒頭の部分を要約して紹介したい。

一九七八年、野犬の撲滅対策として、ある県での犬の買い上げ制度を設けたときのことである。

犬を保険所に持ち込んだ県民には一頭五百円の報酬を出す。

そこに小学生三人が七匹の子犬を持ち込んだ。

「すみません、これ買うてくれるんですか?」

「これ?どうしたいん?」

「犬、一匹ここに持ってくれば、五百円くれるって聞いたけん。七匹で三千五百円やけんね。お金くれん?」

当時の三千五百円といえば、かなりの高額である。

「そのお金、何につかうんや?」

「プラモデルじゃけん!欲しいプラモデルがあるで、それ買いたいんや!はようお金ください」

「君らが連れてきた子犬、ここに来てどうなるか知っとるか?」

「・・・?」

「あのな、ここに連れてこられた犬は、みんなあと数日で殺されてしまうんや。この子犬もそうじゃけん。みんな殺されてしまうんやで。それでもええんか?」

「かまわんけん!はようお金ください!はよう行かんと、プラモデルやさん、閉まってしまうけん」

 親が教えたのだ。

「そんなに小遣いがほしかったら、野良犬の子犬を見つけて保険所へ持って行け」と。 

 命を金に換え、そのお金で自分たちの欲しいものを手に入れようとする少年達、それを容認する大人達がたまらなく悲しく思えた。

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