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 第210号 孫  平成28年7月1日 発行
2016-07-06
         孫                           

   今年の春に小学五年生になった孫が、春休みに中国に行って来る。飛行機も、もちろん中国も初め
ての事である。
「瀬戸内日中友好卓球交流会」で選ばれて参加したのだが、親の付き添えなしで、お世話頂く方に、ご迷惑惑をおかけするのではないか、と心配したが、案ずることもなかった。
 この「瀬戸内日中卓球交流会」は岡山の日中友好協会に、香川の元卓球世界チャンピオンの徳永(旧姓深津)尚子氏、栗本(旧姓松崎)キミ代氏が参加されて昨年(平成二十七年)青島(チンタオ)市で第一回交流会が行われて協定書の調印式も行われた。
 今年は交流会として二回目の青島市訪問であったが、なぜ孫が選ばれたのかは定かではない。参加チームの編成は香川県から五人、岡山県から五人で合計十人。
引率は岡山の中国語が堪能な方とコーチ、香川からは、クラブのコーチの奥様であったが、大変な労力、気遣いであられたと思う。
 海外旅行には慣れている筈の私にも、あの入国検査、手続きは面倒に思えるのに、小学生で無事に通過できるのか。引率の皆様のご苦労が目に浮かぶ。
岡山空港から、韓国仁川国際空港経由で青島流亭国際空港に。国際線の乗り換えも大変だ。殊に帰路は時間がなくて間に合わないと翌日の便になると連絡も入っていた。
 現地での様子は、聞いても中々話してもらえないが、食事文化の違いは感じたようだ。
「豚の足がそのまま出てきた。ぶよぶよで気持ち悪かった。なんの虫か、つくだ煮の様なのが出てきて一匹だけ食べた」。
 迎えてくれた中国の方々は、親善交流の為に心からのおもてなしであったのだろうが、好き嫌いの全く無い孫にも中国料理は馴染めなかったようだ。
 肝心な卓球は、九時から十二時まで練習して、昼食を挟んで三時まで休憩、三時から五時まで練習であった。半日観光も二回ほど連れて行ってもらっていた。 
 一週間で一番上達した、と褒めてもらって、成果は大いにあった。それに中国の友達も何人か出来たようでこれからが楽しみでもある。
 帰国して、直ぐに愛媛県松山市で試合があって、六年生を負かして優勝してしまった。
そのラリーをビデオで見たが、これが小学生の試合かとか、と目を疑う。爺馬鹿には世界選手権に見えてくる。
 一学年上の六年生になる孫娘は弟同様に週四回こちらはバレーボールの練習に通っているが、そんな弟に刺激されたか、卓球も我が家で始めて見違えるように上手くなった。
 毎年恒例の弊社の社員、メーカー、金融機関等の担当者の人達が集って、我が家での花見の宴に、一昨年から卓球大会が加わった。全員参加のトーナメントでなんと、今年はその六年生の孫娘が優勝してしまった。自ら参加を希望したのは、自信があったのだろう。それにしても、小学生の女の子に誰も勝てないとは、大人達も情けない。
 卓球台に向かうと、大きな声で「オッ」と男らしく勇ましいが、家では母親の膝で甘えている。その落差が微笑ましい。
「婆ちゃん、卓球のオリンピックで勝ったら百万円くれる?」
あげるよ!と答えたら、
「百万円でフギア幾つ買えるかな」だって! 確かにまだ小学生だ。

 
 
第209号 アンコール遺跡 平成28年4月1日発行
2016-07-06

        アンコール遺跡  

 

 飛行機に乗る時は可能な限り窓際の席を取ることにしている。ぼんやりと下界を眺めているのが好きなのだ。

 関西国際空港からベトナムのホーチミンで乗り継いで、アンコール・ワットのあるシェムリアップ空港に向かう。

 あれ? 何故、海岸沿いに北上するのか。アンコール・ワットは内陸のはずだが。

 認識不足であった。海ではなくて湖であった。トンレサップ湖。琵琶湖の十倍と言うから島根県とほぼ同じ面積だ。その湖上を飛んでいたのだ。その湖の北、森の中にアンコール遺跡がある。

 平成二十七年の師走の中旬にカンボジア、ベトナムを訪れる。なにも年末の慌ただしい時に行かなくてもいいように思うが、業界の組合員九名の諸事情で、そんな時期になる。

 東南アジアは5月から11月が雨期で暑い。乾期で涼しくなっている季節を選んだつもりであったが、それでも気温は30度を超える。

 現地の人は慣れているとはいえ、さすがに猛暑のお昼時は二時間程休憩を取るのが習慣のようで、我々観光客もホテルで休養させられたが、シャワーで汗を流して下着を替えて確かにこれは助かった。

 アンコール遺跡と言っても、それはアンコール・ワットの事だろう、と言う知識しかなかったが、それは九世紀から十三世紀にかけて栄えたクメール王朝で、大きなものだけで約六十もの遺跡がある。

「アンコール・トムにご案内します」と言われて、え? アンコール・ワットと違うの?

 お恥ずかしい限りだが、アンコール・トムは一辺3kmの堀と高さ8mの城壁に囲まれ、5つの城門がある。その中の巨大なバイヨンの四面仏の1つが、日本の漫才師で女優でもある大口な美人に似ていると言われて、なるほどと親しみを感じる。

 アンコール・トムから森の中を南へ1.5km程。やっとアンコール・ワットヘ。写真で見ていたイメージそのままだが、広い。東西1.5km 南北1.3km。三重の回廊で囲まれている中央塔は高さ65m。第一回廊には長さ50mもある神話の壁画。美しい古代の女性像などの壁画を見ながら、第二回廊を回り終えた時には、皆疲れきって最後の第三回廊への急階段に挑戦したのは私と他には一人だけ。森の中の世界遺産の眺望を楽しむ。

 翌日は機上から見たトンレサップ湖の遊覧。トレンは川(トンレのはずだが?)サップは淡水湖の事らしい。雨期と乾期で湖面の高低差が5mもある。雨期にはメコン川から逆流して水嵩が増すのだが、島根県が5mの水に沈む量とは驚きだ。そこに住む水上生活者は大変だと思うが、高床にしたり、雨期と乾期で住まいを移動して順応している。

 湖全体では百万人もの水上生活者が居るようだが、遊覧船で回る湖のほんの一部のところにでも六千人ほど水上で暮らしていた。湖上に学校も教会もある。

 東南アジア最大の湖は香川県民とほぼ同じ人口の住居場所でもある。

 アンコール・ワットの観光客数も長年日本人がトップであったが、昨年は四番目に落ちた。当然のように中国がトップ、続いて台湾に韓国。近年の経済発展の状況を感じさせられた旅でもあった。

 
 第208号 人のために 平成28年1月1日発行
2016-03-03
      人のために                           

 
                                        坂東重明

「人のためになることを考えなさい」
 久しぶりに聞いた言葉のような気がする。
 ノーベル生理学・医学賞を受賞された、大村智氏が祖母から繰り返し教えられた言葉だそうだが、それは皆が当たり前のように分かっていることなのだが、その実は忘れられているのではないか。新鮮な響きで聞こえたのは、今の世が余りに自己中心主義になってきたからか。
 脳科学者の茂木健一郎氏も「人間の脳には、他人のために何かをするという利他的な行動を、自らの歓びとして感じる回路があることがわかっている。人と人との絆は、利他性のネットワークをつくることで、人々を深いところから幸せにしていくものかもしれない」
 人と人のかかわり、他人への思いやりが自らの幸せにつながることが実証されている。
仕事柄、毎日経済新聞を開いて感じることは大手企業の業績が過去最高益、増収増益、収益上方修正と言った記事が連日大見出しで報道されている。にもかかわらず、庶民の幸せ感は一向に良くならない。不況と言う日本の失われた二十年、やがて三十年にもなろうとしているのはなぜだろうか。
 超大手企業が、社長三代に渡って不適切会計を指摘された。その社長には世の為、人の為を忘れて、ひたすら自己保身だけを考えていた結果だ。社員の幸せを思う気持ちは毛頭なかっただろう。 極端な表現をすれば、社員、雇われ人は奴隷制度のように考えていたのではないか、全ての企業のトップが社員の幸せを第一に考えていれば、不況などはとっくに克服されていたと私は思っている。
 会社はその社員が生活をしていく為の糧を得る場で、社会制度の重要な仕組みだ。働いた分相応の報酬を得て社員が幸せを感じられる社会でなければならない。そうなれば危機を伝えられている社会保障制度など簡単に解消されると浅学な私は考えている。
 我が母は、人の為になる、と言うような大それたことは言わなかったが、人様に迷惑はかけるな。どこかで誰かがみているから、陰日向はするな。そして印象に残っているのは我が子を何処かへ預けて、旅行に行ったとする。綺麗な景色、美味しい料理を目の前にしても、これは自分よりも子供に見せたい、食べさせたいと思うのが真の親心だ。これは子供をほったらかしにした何かの事件があった時に、ふと出てきた言葉だったと思う。そして我が子に見放された老人が、他人様の親切に騙されて、多額の金を取られた事件の時も、そもそも我が子に見放されるような人になんで他人が親切に近寄ってくるのか、その位のことが分からないようでは、騙されても仕方がない、と。
 近年、いろんな手口で、高齢者が騙され金を取られる詐欺事件が多発しているが、老人達よ、もう少ししっかりしてほしい、と言いたい。あなたには犯人を諭すくらいの人生経験がある筈だから、と思うのだが、これは騙し取られるほどの金の無い私の僻みか。
 真に人の為を思う心があったら、物事の嘘か真かは自然に感じとれるのではないか。
 松下電工(現パナソニック)を電材業界のトップメーカーに育てた丹羽正治氏は、常に相手の立場に立った物づくりに徹しながら、大きい会社より良い会社と言い続けられていたが、極零細企業の弊社も社員が幸せを感じられる良い会社でありたいと願っている。 
                                        綾歌郡綾川町
 
第207号 後期高齢者 平成27年10月1日発行
2016-03-03
       後期高齢者                           

 

                                         坂東重明
「実年齢は後期高齢者、精神年齢二十歳、すべて現役です」
 最近自己紹介の機会がある度にそう言うことにしている。多少誇張はあるが、本人は真面目にそう思っている。
 後期高齢者とは、元々医療保険制度から生まれた言葉のようだが、当初は非常に評判が悪かった。役人的発想で他に言い方はないのか、社会に貢献してきた人達につける名称としては失礼ではないか。熟年とか、シルバーの上でプラチナ世代等議論されたが、いつの間にか定着してしまったようだ。
 確か、二〇〇八年に施行された制度だが、当時はまだわが身には関係のない七十五才からのお年寄りの制度と気にもかけていなかったのだが、何と月日の経つのが早いこと。
 会社の労務士さんから、健康保険が変わります、と告げられる。保険料が給与から差し引かれるのが無くなって、内心喜んでいたらなんのことはない、町役場の査定により強制的に徴収される。しかもその個人負担額は増えるのだ。
 お年よりは金持ち、と言う発想の老人いじめに思えてくる。
 子供の頃に七十五才と言えば、失礼ながら老人も老人、棺桶が待っているだけの人生、何が楽しみで生きているのだろう。と真に無礼だが正直そう思っていた。そんな老人達からよく耳にしたのが、過去の自慢話。
「世が世であればわし(私)は・・・」
「わし(私)が若かりし頃は・・・」
 そんな話を聞く度に、老後の自分はどんなことがあっても、決して過去に縋ることなく今が一番と思える人生を歩もうと誓ってきた。
 精神年齢二十歳とは、良く言えば若い、悪く言えば成長がなかった。後者の方が正解だろう
 健康管理には、毎月定期的に病院で健康診断を受けて体力的には概ね健康だが、部分的には耳鳴りはする、目は霞む、鼻は詰まる、肩は凝る、前立腺肥大に高血圧、おまけに血糖値に中性脂肪まで高いと言う、どこが健康なのか!。ともあれ一病息災を多病でも、より息災にと考えて、お医者様の言われることは素直に聞いて対応しているつもりだが、どうしても意思薄弱になることがある。
 これは食糧不足の時代に身に着いた「もったいない」精神である。宴会に出された料理は全て平らげる。残すことに堪られない抵抗感があるのだ。
 医者から体の為に禁煙をしろ、酒は控えよ、と言われながら大半の人が実行出来ない。そんな人達を常に軽蔑の目で見てきた私だが、
 さて、「たばこと酒」を「食事」に変えたら、全く同じことではないか。
 好物のアンパン、どら焼きの類は簡単にセーブして、普段の昼食はインスタントのカップ麺だけ、朝夕食はもちろん腹八分以下、それでも体重一㎏減らすのに苦労するのだが、それが一度の宴会で二~三㎏は簡単に増えてしまう。これが血糖値を押し上げる。
 毎日欠かさず、体重、血圧は計って記録しているから、その変化は分かっているのだが、この宴会での食欲の制御が問題だ。
 夏痩せ、食欲不振には縁遠く、食欲は元気の元、若さを保つ必須条件でもある、と理屈をつけて、つい美食三昧、これがいけません。
 かっての血糖値を正常に戻したこともある。その体験を生かして、無理なく自然な生活習慣が健康につながるよう心して後期高齢期を楽しもう。
                                        綾歌郡綾川町
 
  第206号  イモアメ  平成27年7月1日 発行
2015-08-07
    イモアメ                       
 
 
 同窓会の宴の後、何人かで雑談をしている時に、その中の一人が、
「こんな話を聞いたけど、ほんとなの?」
「坂東さんのところは昔イモアメを炊いていた、と言ったら、途端に酷く不機嫌になられた」と聞いているけど、
「それはどうして?」、
突然の質問に唖然とする。イモアメを作っていたのは確かだが、そのことを聞かれたことも、どんな返事をしたかも覚えはないが、聞いた人がそう言われたのであれば事実なのだろう。私の心に潜在的にイモアメは貧困につながっている。イモアメと言われて不機嫌になったのではなくて、当時の貧しさを思い出し悲しい気持ちがこみ上げてきて、それがそのまま表情に表れたのだろう。
小学四年生前後の頃、どこでどう教えてもらったのか、両親が家でイモアメ作りを始めた。自分の田畑で栽培した芋を使って作るのなら採算も合うのだろうが、我が家は非農家である。ギーギー車輪の音がうるさい粗末な手押し車を押して、農家を回ってサツマイモを分けてもらう。当時どこの農家も縁側の下に穴を掘って、もみ殻を入れてその中に芋を保存していた。雪の降る日に母親について行った記憶があるが、みすぼらしい我が家に比べて、それぞれの農家の家が豪華に見えた。
快く売ってくれたところ、うるさがられて追い返されたところもあったように思うが、元々父母共に商売が出来るような人ではない。
夜通しかかって炊いていたようだが、出来上がった飴を又ギーギーの手押し車に乗せてひと山超えた日用品店に納める。片道二時間はかかった。その店は日用品を売る傍らで饅頭を作っていた。それに使われたようだが、苦労して作った飴がどれほどの利益になったのか知る由もないが、仕事の無い時代で窮余の一策であったのだろう。唯生活の為に性に合わないことに必死だった哀れな母の姿が脳裏に残っている。
物心がついてきた頃の貧困、僻みと劣等感はそこから始まったように思われるが、今年で後期高齢者の仲間入りだが、劣等感は今なお引きずっている。
二人の孫が現在小学五年生と四年生。我が子の時は子育てに必死で考える余裕もなかったのか、いつの間にか過ぎていたが、素直に育っている孫達を見ていると、我がイモアメ時代と比べて、頼もしくもあり、羨ましくもある。
二人揃ってピアノに卓球、英語にそろばんバレーボールにと、小さな体で大丈夫かと心配する爺婆を余所に連日出かけて行く。
我が六十才から習い始めたピアノも、昔多少の自信もあった卓球もすでに孫に追い越されてしまった。
同級生から聞かれてイモアメを作っていた頃の悲惨な気持ちを話していると、その話を遮って、別の一人が
「何言ってるの、私なんか家が貧しかったから高校に行けなかったんで!」
ずっと羨ましく輝いて見えていた人からの一言が私には応えた。
 甘い飴とは反対に苦い思い出のイモアメだが、一度作ってみたいとも思っている。作り方は全く分からないが、そこは時代の進歩。手にしたスマホに「いもあめ」と入れて検索すると事細かく作り方が出てくる。豊かな時代である。
 

第191号  灰になるために生まれてきたんじゃない

第191号  灰になるために生まれてきたんじゃない
 
灰になるために生まれてきたんじゃない

出来たばかりのコンクリート舗装の路上に白い大きな犬の死体が横たわっていた。

開通間もない国道十一号。現在は県道三十三号になっているが、私が高校に通っている三年間に工事が進められて、出来上がった真新しい路面に無残な姿があった。最近では路上に死んでいる犬猫を見るのは珍しくもなくなったが、半世紀も前の光景が強烈に脳裏に残っている。今も通勤時に通る道である。

悲惨な交通事故死は人間も同様で悲しむべきことであるが、その犬猫の命が不慮の死ではなく、まるで売れ残ったコンビニの弁当のように処分されていると聞くと人間のおぞましさに恐怖感を覚える。

それは連日報道される幼児虐待、いじめ、陰惨な殺人事件等殺伐とした世相に現れているようにも思える。

知人が「小さな命の写真展」として、保険所等で殺処分される前の犬猫の表情を写した写真展を常盤街商店街、ホームセンター、駅構内、市役所等々で開催している。

この命、灰になるために生まれてきたんじゃない。全国で一日に約一千頭の犬猫が二酸化炭素に依って殺処分されている。香川県は人口当たりの殺処分数は全国ワースト五位だそうだ。その費用は全国で二十四億円と聞くこれ全て税金で賄われている。

人の癒しの為に、命の尊さを共有する筈のペットが心ない一部の人と思いたいが、無責任に捨てられ殺される。

写真展の会場で売られていた児童書のノンフィクション作家、今西乃子著「犬たちを送る日」の冒頭の部分を要約して紹介したい。

一九七八年、野犬の撲滅対策として、ある県での犬の買い上げ制度を設けたときのことである。

犬を保険所に持ち込んだ県民には一頭五百円の報酬を出す。

そこに小学生三人が七匹の子犬を持ち込んだ。

「すみません、これ買うてくれるんですか?」

「これ?どうしたいん?」

「犬、一匹ここに持ってくれば、五百円くれるって聞いたけん。七匹で三千五百円やけんね。お金くれん?」

当時の三千五百円といえば、かなりの高額である。

「そのお金、何につかうんや?」

「プラモデルじゃけん!欲しいプラモデルがあるで、それ買いたいんや!はようお金ください」

「君らが連れてきた子犬、ここに来てどうなるか知っとるか?」

「・・・?」

「あのな、ここに連れてこられた犬は、みんなあと数日で殺されてしまうんや。この子犬もそうじゃけん。みんな殺されてしまうんやで。それでもええんか?」

「かまわんけん!はようお金ください!はよう行かんと、プラモデルやさん、閉まってしまうけん」

 親が教えたのだ。

「そんなに小遣いがほしかったら、野良犬の子犬を見つけて保険所へ持って行け」と。 

 命を金に換え、そのお金で自分たちの欲しいものを手に入れようとする少年達、それを容認する大人達がたまらなく悲しく思えた。

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